こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」から、このコツを学びます。
○第3戒 「反り返るなかれ」(P70~72)
徳川夢声氏は、冒頭から威張るということについて「みっともない」と言い切り、日本が平和で文化的であるならば「一人だって威張る人間の存在が許されないはずです」と述べています。この本が出版された1947年は、地位や権力に今より大きな力がありました。
それゆえ、実力以上に「威張る人間」も多かったかと思います。
現代の今、私はそんな「みっともない」光景をある会社の応接室で見ました。
コロナ禍のご時世ゆえ、換気のために応接室の扉が開いていました。
そこで、業者さんと会っている男性部長の座り姿にびっくりしました。
ソファの背もたれに斜に構えて大きくもたれかかり、左腕はだらん、とおろしていました。それに対して業者さんは背筋をぴんと伸ばしています。
私は、部長の反り返るような態度に非常に不快になりました。自分の方が上だ。だから横柄でもいい、という意識を感じたからです。直接関係のない私が嫌だと思うくらいです。相対する業者さんがどう感じるかと、不安になりました。
似たような光景はよくあります。業者さんに高圧的に話す若い社員、コンビニのレジでお金を投げるように出す人、レストランで接客係に横柄にあたる客などなど…。自分の方が偉い、と思っているのでしょう。大変見苦しいな、と感じます。こんな、あからさまに人を軽んじている態度の人とは、信頼関係なんて作りたいと思えません。
ですから、忘れてはいけないのは、相手を尊重する、心構えとそれを表す態度です。社会に出て、経験を重ねて、できることも多くなります。ですが、その自信を「偉い」と履き違えてはいけないのです。
反り返っている人に出会った時はチャンスです。「この人みたいになっていないかな?」と気がつく機会です。せっかくなので、不快になるよりも、反面教師になってもらいましょう。
次回の「馬鹿丁寧なるなかれ」で、低姿勢ゆえの不快感を考えます。
※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)