「強くなりたい」とは、誰もが願うことだと思います。「そうでもない」と言う人もいるかもしれませんが「弱くなりたい」とか「弱い人に憧れる」人はいないでしょう。
何を強さとするかは、さまざまです。体力、筋力を強化したい人もいれば、経済力や地位を得て社会的に強い立場になりたい人もいます。ゲームや競技など特定のジャンルで強くなりたい人もいるでしょう。そんな中で、誰もが求めるものとして精神的な強さがあります。
精神的な強さは、すべての基礎となる力です。これなしには身体を鍛えることもできなければ、社会的な成功も、競技での勝ちもありません。
それでは、精神的な強さとはどういうものでしょうか。これも一言で答えられるものではありませんが、私は、言い換えるとすれば忍耐力、耐える力だと考えます。
私は空手の指導者をしていますが、稽古の中には耐えなければならないものがたくさんあります。肉体的な疲労や痛み、動作の単調な繰り返し、上達にかかる長い時間、そしてできない自分に直面するもどかしさ。
こうしたものに耐えてこそ、精神の強さは養われます。これは、空手のみならずスポーツでも語学でも楽器演奏でも、なんでも同様でしょう。
こうした、忍耐を要する活動に日頃から積極的に取り組んでいるかどうかが、その人の精神力をはかる目安になります。
「余計なことはしたくない」、「時間がかかるならやらない」、「きつかったらやめる」。常にこう思って生きていては、精神力は身に着きません。
「辛いけれど、時間がかかるけれど、やらなくても済むけれど、でもやろう」。
そういう気持ちが、強くなる第一歩だと私は考えています。
強さとは何か