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「接遇のチカラ」 (57) 「座談十五戒」から学ぶ

 こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
 これまで徳川夢声氏の著書『話術』にある「座談十五戒」をひとつずつ取り上げ、コミュニケーションのコツを学んできました。今回は全体を振り返ります。
 この本は終戦直後の1947(昭和22)年に出版されました。この当時と今の時代背景はかなり異なっています。とはいえ、その内容は現在の私たちも「そうだそうだ」とうなずくものばかりです。これまでの15回からも、今も昔もコミュニケーションのコツというのは、変わらないのだな、と感じさせられます。
 夢声氏は、相手の話をよく聞く、ということを会話の要(かなめ)としています。目の前の相手を大切にするには、その人の発する言葉をしっかりと受け止めねばなりません。その姿勢が伝わることで、相手にもこちらの話も聞こう、という心が沸き上がります。そのやり取りは、まさにキャッチボールです。それを円滑にするために夢声氏は「人と話す時にしてはいけない」15項目を挙げたのです。
 自分ばかり喋るな。とはいえ、黙り続けるのもいけない。それは、会話は言葉のキャッチボールだからです。偉そうだったり卑屈な態度だったり。話せば愚痴やマウンティングばかりの人とでは、そのキャッチボールはつまらないものになります。また、「いいね!」ばかりの人や、すぐに「でも」「それって…」と否定する人も同様です。
 会話を続けたいな、と感じるのは「あなたを尊重しています」という気持ちを伝えられる人です。表情や敬語など、その気持ちを伝える術(すべ)を適切に織り交ぜることで、尊重の想いは伝わります。
この「気持ちを伝える術」、つまりテクニックを解説してくれたのが「座談十五戒」なのです。
 次回、もう少し振り返りをいたします。

※『話術』(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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