メルマガバックナンバー 大嶋利佳執筆記事

現代に活かす宮本武蔵の言葉(5)「常に其身になって、能々工夫すべし」

 前回、7月1日配信の「にせ物にせずして、即我心より見出したる利にして」に続く部分です。『五輪書』の内容を「他人に似せるのではなく、自分が見出した理法であると思え」と述べた後、さらに「常にその身になって、よくよく工夫せよ」と教えます。
 「其身になって」とは、「相手の身になって」という表現で日常よく使いますが、ここで武蔵が言っているのは、相手を思いやるという意味ではありません。本に書かれている心構えや技術を、当事者意識を持って身に付けろ、ということです。これは、単なる読者として文章を読み飛ばしていてはできません。自分でやってみる、著者と同じようにできる、という段階に進んでこそ、本の内容が役立ちます。あらゆる学びに通じる心構えでしょう。

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