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ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(20)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月は、「話を促進させる一言」をテーマに、状況に応じた「一言」「言い回し」を解説しています。
今回は、会議の途中で何の話か分からなくなった時に使いたい言い回しとして「そもそも」を紹介します。
事例に、ある会社で中堅社員たちが「プロ意識を持って仕事をするには」という議題で話し合っている場面を挙げます。
Aさん「基本は法令遵守だ」
Bさん「自己管理が第一だ」
Cさん「数字、結果がすべて」などなど… 
意見は出るのですが、まとまらず、会議は膠着してしまいました。そこで、ファシリテーションの心得のあるDさんが投げかけました。
Dさん「そもそも、みんな、プロ意識という言葉をどう捉えている?」
Aさん「誇りを持って仕事する」
Bさん「プロは仕事、アマは趣味」
Cさん「失敗が許されない緊張感を持つ」
Dさん「なるほど。それぞれ考えが違うよね。話を進めるために、プロ意識という言葉の認識を合わせよう」と提案したところ、全員ハッとなり、賛成しました。
一見活発なのに、話が噛み合っていないのは、同じ言葉で使い方や認識が違っているからです。筆者の経験上、戦略、品質といった馴染のビジネス用語、コミュニケーション、コミットメントといったカタカナ言葉でこ
そ起こりがちです。
そんな時、意見が出尽くし膠着しているタイミングで「そもそも」を投げかければ、議論の対象となる言葉の定義を再確認でき、会議を立て直す効果があります。
なお、一部の人しか話していない段階、または、自分の考えに寄せようとして使えば、一蹴されます。
NG例「そもそも、プロ意識ってお金が絡む話だから、その話からしようよ」
「何言っているの。もっと大事なことがあるだろう」
次回は、話の優先順位を付けたいときの言い回しを説明します。

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