こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。(今月は変則)4月から「聞く」をテーマにお届けします。
私は、研修講師の仕事以外に、悩みやわだかまりを抱えている人と、一対一で「話を聞く」ということも行っています。思いを聞き、会話をする中で内省をしてもらうのが目的です。
その中で、私にとって印象深い男性がいます。職場で「空気読めない」と指摘された20代後半の人です。彼はコミュニケーションには自信があったのに、と戸惑っていました。
しかし、私と面談ルームで話をしていたら「どうしたらいいか」が見えてきたそうです。そして、彼は別れ際にあふれる涙をティッシュで拭いつつ、笑顔で「こんなに自分のことを聞いてもらえたのは初めてです」と言ってくれました。私は嬉しい反面、ちょっとびっくりしました。
彼はとても友人が多くプライベートでは毎週のように遊ぶし、SNSでのやり取りも頻繁だそうです。それなのに「初めて聞いてもらえた」との感想です。これはなぜなのでしょうか?
友人とのおしゃべりはとても楽しいものです。前述の男性も、そんな時間をたくさん持っているはずです。しかし、おしゃべりは心地良くても、そこには相手をおもんばかる気持ちが存在します。雰囲気に従って自分を抑えたり、「これはちがうな」と思っても口に出さなかったりします。つまり、楽しいとはいえ、必ずしも「聞いてもらう時間」ではないのです。
悩みは心の中で漠然としている場合があります。自分の思いでありながら、はっきりとした言葉にできないので「どうしたらいいのだろう」とモヤモヤします。そこで、その解消のカギが「聞いてもらう」ことです。
モヤモヤした気持ちを相手に話すと、自らの気持ちの反芻ができます。聞いてもらうことで、モヤモヤは自分の言葉になるのです。こうして「聞いてもらえるとスッキリする」と感じるのです。
冒頭の男性との会話では、私は一切アドバイスをしていません。
「聞く」が彼に答えを見つけさせたのです。
今回の件は「聞く」がもたらすことの一端です。これからその力を掘り下げていきます。
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「接遇のチカラ」 (41) 「聞く」がもたらすこと
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松原 里実
研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター →プロフィールはこちら
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