■ワンポイント・エッセイ
労働という切り口で考える(7) 頭脳労働を支える“技”
占部 正尚
頭脳労働者である講師がしっかりと“心”を定めた上で取り組む
べきことは、プロとしての“技”の向上です。
同じ講義内容でも、会場の雰囲気の作り方や知識・情報の伝え方、
受講生からのアイデアの引き出し方などによって、研修担当者や受
講生からの評価は大きく違ってきます。
経験の浅い講師は、まず専門分野について『習得』をするため、
本を読んだりセミナーに参加したりするでしょう。問題は、習得の
仕方によって講師としての未来が決まることです。
もし、著名人や各分野のエキスパートの話を聞いて、「素晴らし
い」「感動した」と心酔しやすい人は、おそらく講師としての技量
は伸びにくいでしょう。
なぜなら、そこで話している先輩諸氏は、あなたがいつか超える
べき存在であって、下について従うべき存在ではないからです。本
当に凄い相手であれば即刻弟子入りし、徹底して師匠の技を盗み、
超えるための努力を継続してください。
私が新人の頃の上司に感謝しているのは、いつも「参加したセミナ
ーの内容は、翌日再現せよ」と指示してくれたことです。真に受け
私は、毎回レポート用紙10枚以上にメモをすると決め、全力で講
を聴き、拙いながらも翌日には鏡を見ながら再現を試み続けました
その経験は、30年以上にわたって顧客企業からセミナー・研修業
務を出し続けていただける“技”の源流となっています。
労働という切り口で考える(7)占部正尚