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ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(19)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 今月は、「話を促進させる一言」をテーマに、状況に応じた「一言」「言い回し」を解説しています。
 今回は、「膠着した会話を元に戻す言い回し」を取り上げますが、今回と次回で、次のふたつのシチュエーションに分けて説明します。
ひとつは、意見が出尽くし、結論に向かって話を進めていきたい状況。もうひとつは、話しているうちに、何の話か分からず会話が止まって
いる状況。今回は前者を取り上げます。
 意見がたくさん出て、その先に進みたいときは、「いずれにせよ」を使ってみましょう。出た意見に共通項を発見したときがタイミング
です。
 一例として、ある会社で「次年度の商品企画を考える」という議題で会議を行ったとします。会話例で示すと次のようになります。
 Aさん「ターゲットが定まっていない。もやもやする」
 Bさん「総花的な商品展開なので、在庫管理が大変だ」
 Cさん「開発サイクルが場あたり的で、落ち着かない」
 Dさん「・・・いろいろ意見が出たね。いずれにせよ、戦略が無いってことが問題ではないか。話題を次年度の戦略にして話を進めませんか」
 「いずれにせよ」を使うときの注意として、多種・多様な意見が出たのは承知しており、それらを十分に検討した結果、○○はどうだろうかというニュアンスで参加者に伝えるのがポイントです。
 ただし、「いずれにせよ、今回の企画は昨年同様に実施する。あれこれ検討するよりも一番効率的だ」と他者の意見を無視し、我田引水のような使い方をすると反感を買います。決定権を持つ議長役、役職
が上、声の大きい方々は特に気をつけてください。
 なお、類似の表現には「ともかく」があります。
 次回は、続編として「話しているうちに、何の話か分からなくなった場合の言い回し」を説明します。

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