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ファシリテーションの基礎となる思考方法 システム思考(4)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 今月はファシリテーションの基礎となる考え方のふたつめとして、システム思考を紹介しています。
 システム思考とは複数のロジカル思考を組み合わせたものです。それにより循環構造が見えてきます。面白いのは、関係無さそうな事象同士が影響し合っている点です。
 システム思考を理解するうえで関連深いのが、割れ窓理論(われまどりろん、英: Broken Windows Theory)です。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したもので、軽微な犯罪の徹底的な取り締まりが凶悪犯罪の抑止につながるとする環境犯罪学上の理論です。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名があります。
 これを適用した事例が、ニューヨーク市の治安の復活です。同市は1980年代から犯罪多発都市となっていましたが、1994年にジュリアーニ市長が就任し治安対策に乗り出しました。その内容は、例えば地下鉄の落書きを無くすという市中の軽微な犯罪の徹底的な取り締まりです。その結果、犯罪が大幅に低下し観光都市としての活気を取り戻したそうです。
 実際、犯罪が多ければ、取り締まり体制を強化し解決策とするのは妥当なロジカル思考といえます。しかし、市中全体に警察官が眼を光らせるような雰囲気が観光客に魅力を与えるでしょうか。そこでジュリアーニ氏は、このやり方では観光都市への道は開かれないというシステム思考を行い、割れ窓理論を適用したのです。
 落書きと凶悪犯罪とは一見無関係ですが、システム思考を活用すれば両者の間に因果関係が見出せます。すなわち、「落書きなどの軽微な犯罪の取り締まり」⇒「犯罪を起こさせる雰囲気を無くす」⇒「凶悪犯罪が減る」という構造です。
 皆さんも職場の複雑な問題を扱う際にはシステム思考をぜひ活用してみてください。
 次回はファシリテーションの基礎となる考え方のみっつめとしてクリティカル思考を紹介します。

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