■ワンポイント・エッセイ
講師に求められる仮説力と質問力(その9) 占部 正尚
受講生に対して「顧客志向を貫く姿勢の大切さ」を教えること
を目標とし、「モンスターは顧客志向の対象外」という考え方に
対処する事例の続きです。
相手が「なぜ、そのように考えるに至ったか」を知るために、
「どのようなクレームを付けられたのか?」「どういった経緯で
付けられたのか?」などを『分解質問』しながら情報収集すると、
モンスターの発生が自社に起因する場合とそうでない場合とに
「整理」しやすくなります。
自社に起因する場合、例えば「不良品の発生を見逃していた」
「対応が明らかにまずかった」といった事象があったと考えられ
ます。
こうしたケースでは、「顧客志向が徹底していたら、モンスター
は発生しなかったのではないか?」「見込み客を逃してしまった
のではないか?」といった『限定質問』で問いかけます。
これによって、受講生に対していかに顧客志向の一面しか見てい
なかったか、すなわち「モンスターを発生させたのは、自分たち
の顧客志向の不足ではなかったのか」を気づかせることになりま
す。
このように、質問と整理を繰り返していくことで、論点が明確
になり、講師が教えるべき目標像を伝えやすく、また受講生も納
得しやすくなります。
講師に求められる仮説力と質問力(9)占部正尚