こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月からは、新シリーズ「ワークショップをやってみよう」を連載しています。
前回は、社会人教育で活用したい「ワークショップ」について、その主流である「研修」と比較することとし、まずは研修の特徴を挙げました。
今回からは、ワークショップの特徴をいくつかの切り口で研修と比較しながら説明していきます。
まずは、成立過程の違いです。
研修は、訓練から発展してきた手法です。古来、人類は血縁や地縁をもとに集団化し、組織的に行動してきました。大勢の人々が一致団結するために必要なのが訓練です。いざという時、また、常に一定のレベルで動けるよう練習を繰り返します。共にやれば仲間意識や結束力も高められます。2500年前の中国で成立した「孫子」という兵法書
にも訓練の様子が記されています。
日本においても軍隊を中心に行われ、戦後の社会人教育の基礎になりました。現代でも「職業訓練」や「考課者訓練」などにその名残があります。訓練を基礎として知識や技能を習得し、仕事の理解を深めていくのが研修です。
それに対してワークショップは、社会的な流れの中から生まれてきたものです。初回に、社会人教育分野でのワークショップは1980年代にアメリカから日本に紹介されたと説明しました。
その時期のアメリカでは多くの組織が経営の危機に直面していました。インフレの悪化、公害や人権など次々に発生する社会問題に対し自分たちはどうすればいいのか、生き残れるのか、一握りの経営・幹部層だけの知識や発想では到底対応しきれないのです。そのため、組織の中のメンバーはもちろん、広く外の人たちも巻き込んだ話し合いによって打開策を得ようと、ワークショップが広まってきたのです。
次回は、プログラムや開催手順の違いを紹介します。
ワークショップをやってみよう(3)