■ワンポイント・エッセイ
講師の満足度(3)自分にとっての満足度 その3 占部 正尚
スポーツの分野でよく見られる光景ですが、一流の選手は必ず
と言ってよいほど、インタビューでファンやスタッフに対する感
謝の気持ちを表明します。
一流になるためには、きっと口には出せないほどの過酷な練習
をしてきたでしょう。限界を乗り超えるために、自分自身と真剣
に向き合ってきたでしょう。
ある程度の時期までは、考えるのは自身の鍛錬だけで良いので
す。しかし、技量が高まってくると次第に視野が広がり、自分を
支えてくれる周囲の人達への想いが高まり、これがさらに自身の
人格と技量の昇華につながります。
この話は、講師の世界にも共通しています。講師になりたての
頃は、いかに上手く話すか、いかに時間内に終わらせるかなど、
自分中心に考えても良いのです。
ただし、ある程度慣れてきて、講師の仕事も増えたあたりから
二極分化していきます。中には「先生」と呼ばれ続けて自分を見
失い、謙虚さを忘れた立居振舞をしたり、受講生が居眠りをして
いても「その方が面倒な質問も出ずに楽だ」と考えて放っておく
など、残念な場面が意外と多く見られます。
その点、選ばれ続ける講師は、自分の向こう側に位置する受講
生や顧客企業のことを意識し、どういう事例を出して説明したら
受講生がスキルアップし、職場で成果を挙げられるかを常に考え
ています。
すなわち、受講生や顧客企業の喜びや満足が、自身の満足度の
向上に結びついているのです。