毎月2回、第1、3土曜日に歴史上有名な武士や武芸者が詠んだ短歌「武道歌」を紹介しています。古くから伝わる言葉の中には、少し視点を変えて読めば、現代に生きる私たちにも役立つも
のがあります。
今月は、江戸時代後期に創始された北辰一刀流に伝わる歌を取り上げます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勝つ事を何と答へん言の葉は 墨絵にかきし松風のおと
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうすれば勝てるのか」。「それに答えるのは難しい。強いて言えば、墨絵に描いた松風の音だ」。そんなやりとりがあるような歌です。いろいろな解釈ができそうですが、どんな分野でも、安易に人に尋ね分かりやすい言葉での説明を求めているうちは、勝者にはなれないでしょう。
聞こえない音を聞けるほど、自分を深め、研ぎ澄ます必要がある。そんなことを教えているのかもしれません。
「現代に活かす武道歌」(50)