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ファシリテーションの基礎となる思考方法 クリティカル思考(3)

こんにちは! 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月はクリティカル思考(Critical Thinking:批判的思考)を取り上げています。そもそもの前提や他の可能性をチェックする機能が特徴です。また、思考の癖(バイアス)を是正する働きがあり、前回までは「確証バイアス」「後知恵バイアス」を紹介しました。
今回は「代表性バイアス」です。一旦代表的なイメージ(ステレオタイプ)が出来てしまうと、しっかりと検討せず直観的に物事を判断してしまうことです。
ステレオタイプとは、多くの人に浸透している固定観念や思い込みで、なかなかぬぐい切れないのが特徴です。しかし、クリティカル思考を使えば、それに惑わされず判断を下せます。
活用事例に、前回も登場したある製造企業の宣伝部での会議を取り上げます。
主婦3名だけの試用データから販売を決定した新製品XXの売れ行きが良くなく、きまりの悪い担当者Aさんに同僚Bさんが尋ねます。「Aさんの勢いに負け、販売に賛成した私たちにも責任はあるが、なぜAさんはXXが売れると思ったの?」
Aさんが答えます。「以前大ヒットした製品YYの担当者で、今は役員のCさんが“サンプル数なんて関係無いよ。3~4人で十分だよ”って仰っていました。Cさんは他にもヒット商品がありますよね。そんなすごい方の言葉であれば間違いないだろうと思っていました。」
なるほど、Aさんは実績のある人の言葉を成功の秘訣と思い込んでいたようです。
そんなAさんに、クリティカル思考の心得のあるDさんが「気持ちはわかるけど、やっぱりサンプル数は多い方がいい」と話しかけました。
そして「Cさんがサンプル数に拘らなくなったのは、若いころ多数のサンプルを取り、経験を積んだからですよ。」と別の事実を述べました。
すると、Aさんは「そうなんだ…」とまるで憑き物が落ちたような表情を浮かべました。Aさんの思い込みは払しょくされたようです。
次回も、バイアスを是正するクリティカル思考の活用事例を紹介します。

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