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ファシリテーションの基礎となる思考方法 システム思考(2)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 先月までロジカル思考を解説してきました。今月からはファシリテーションの基礎となる考え方のふたつめとして、システム思考を紹介しています。
 システム思考とは、複数のロジカル思考を組み合わせたものです。問題解決のためにさまざまの選択肢がある中で、全体を眺めながら一番目的にそった案を選ぶのに適しています。
 皆さんはこんな経験はありませんか。ある問題に対して手を打ち、ひとまずは解決したように見えたが、その後別の問題が連鎖的に起きてしまった…。例えば、ある企業で製品の売上が伸びず収益が得られないので、来期の新入社員を採用しないと決めたとします。新人を育てるお金が無いので採用しない、それはコストの面から見れば論理的、つまりロジカル思考としては妥当な選択と言えます。
 しかし、新人を採用しないことで、新入社員に割り振る予定だった仕事を既存の社員でやらなくてはならない、また、ある年代層がいないため、部下無しで役職名だけのリーダーが多数出来てしまう、もっと長い目で見れば、技能伝承したいが後輩が存在しないといった問題が後々起こってきます。   
 つまり、『売上(収益)が立たないが、新人を採用すべきか』という問題に対して、コスト面だけを重視してしまったため、実際には、問題の本質が解決されたわけではなかったのです。先送りになっただけであり、加えて頭の痛いことに、時間の経過とともに問題が大きくなるという多くの組織で見られる現象ではないでしょうか。
 現実社会では複数の問題が絡み合っており、単純にどこか一部をいじったからといってすべてが解決することはありません。冒頭、システム思考とは、複数のロジカル思考の組み合わせと述べた理由です。
 次回も引き続きシステム思考について解説します。

 

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