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ファシリテーションの基礎となる思考方法(10)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。その基礎となるのがロジカル思考で、それを活用したフレームワーク(思考の枠組み)をひとつずつ紹介しています。
 話し合いでは、あらゆる意見が抜け漏れなく出され、公平・公正に検討されたうえで結論が出るのが良いですね。しかし、実際にはなかなかそううまくはいきません。偉い人には反論できない、話下手な人の意見を取り上げない、普段無口な人が発言すると大事な意見のように感じてしまうなど、さまざまな問題が見られます。
 なぜそうなるかというと人には、属人思考といって、発言者と意見を分けられない考え方の癖があるからです。誰にでもあることなので、直そうとするよりも、様々な意見が自然と出る仕掛けや仕組み、すなわち、フレームワークを使う習慣を根付かせる方が現実的だと筆者は考えています。
 そのひとつが、今回紹介するディシジョンツリー(Decision Tree意思決定のための樹形図)です。「樹形」の由来は、ある議題を根っこに見立て、そこから茎や枝が延びるようにあらゆる選択肢を並べた姿が木のように見えるからで、意見の抜け漏れが無いのが特徴です。
 例を挙げてみましょう。ある会社の新製品の販促会議で、議題は『売り上げを伸ばす』です。これが根っこに当たります。そこから、まずは『価格を下げる』『宣伝を増やす』という意見が出されました。根っこからふたつの枝が伸びたことになります。
 次いで『価格を下げる』を実行した場合どうなるかを予測してみると、そこからさらにふたつの枝『競合他社も値下げする』『他社の反応はない』が伸びました。このようにどんどん枝別れするように考えを広げていきます。
 選択肢が出そろったら、それぞれに起こりうる確率(%)と見込みの利益を割り当てます。確率は合計で100%にします。
 最後に、すべての選択肢の確率と利益を掛け合わせ「期待値」を求め、それぞれの「投資金額」も考慮しながら皆で検討し結論を出します。数値を当てはめるので具体的な議論が出来るのがこのフレームの意義です。
次回は『ロジックツリー』を紹介します。

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