こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。(今月は祝日のため配信日を変更しています)
今回は、前回のクレーム対応事例の続きです。思っていることを伝えられないもどかしさへの悩みです。
美容皮膚科に勤務するAさんは、クレームの手紙への返信に苦心していました。スタッフの対応は適切でしたが、患者さんを不快にしたことは事実です。しかし、謝ろうとすると全部スタッフが悪いようになったり、落ち度がないと説明すると逆に患者さんを責めているような文になったりとうまくいきません。悩んでいるAさんに、師長が声をかけました。
「自分が書きたいことにこだわってない?何が書かれていれば患者さんは納得できるかしら?」
あっと気がついて、Aさんは、もう一度文章を見直しました。謝ってばかりの文はこうでした。
「この度は、当院のスタッフが大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。お話を伺い、最適と思われるメニューをご提案いたしましたが、ご不快にさせてしまいお詫び申し上げます」
患者さんは何に対して謝罪し反省しているのかを知りたいはずです。謝る点は説明不足です。そこで次のように変えました
「この度は大変申し訳ございません。最善のメニューをお勧めいたしましたが、ご納得をいただけないまま進めてしまったことは、私どもの説明不足です」
そして、質問がしつこいという不満への説明も見直しました。
「何度も質問をしたのは、お答えがあいまいだったためです。当院は、最適なメニューをお勧めしており、スタッフに落ち度はございません」
これも医院側の主張ばかり。ですから、患者さんの不快の原因である、繰り返しの問い詰めの理由を書きました。
「スタッフが何度も質問をしたのは、患者様のご意思をよく知った上でメニューを選択するためでした」
この返事を出した後、Aさんはこの患者さんからカウンセリングに指名され、よい関係が続いているそうです。
接遇は、より良いコミュニケーションを紡ぎだすスキルです。相手の思いをしっかりと受け止め、相手の身になって返す。このポイントを心がけましょう。
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「接遇のチカラ」 (24) 思ったことを伝えるために~思っていても伝わらない
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松原 里実
研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター →プロフィールはこちら
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