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「接遇のチカラ」 (56) 「座談十五戒」から学ぶ~敬語を忘るなかれ

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
これまで、徳川夢声「話術」所収の「座談十五戒」から、コミュニケーションのコツを学んできましたが、最後となる第15戒のテーマは「敬語」です。
〇第15戒  敬語を忘るなかれ(P87~89)
徳川夢声氏は「敬語なんて、封建的な遺物だ、などという意見もある」が「生徒が教師に対し、巡査が大臣に対し、同等の言葉遣いをする、ということは考えられません。何等かのかたちで、心の中の敬意を表わすコトバが用いられる」と述べそれを表す敬語はとても大切であると看破しています。
令和のメディアでも目上の人に対しても敬語を使えない老若男女が多くなりつつある、といった記事を目にしまします。私たちの身の回りでも、時に、何気ない言葉使いが、コミュニケーションに混乱を生じさせたり、人間関係をぎくしゃくさせたり、人としての印象を悪化させる等の事例も見受けられます。
ある職場の中堅どころとして活躍する30代後半のめぐみさんは、同僚から親しみを込めて「めぐちゃん」と呼ばれていました。ある日、和気あいあいとしためぐちゃんの職場に、大学を卒業したばかりの裕子さんが配属されました。その裕子さんの指導担当を任されたのがめぐちゃんです。裕子さんは生真面目の頑張り屋さんで、仕事の飲み込みも早く、指導担当のめぐちゃんをとても慕っていました。そんなある日のこと、他部署とのミーティングで発言を求められた裕子さんは、「めぐちゃんの意見に賛成です」と言ってしまい、他部署の職員から社会人としての言葉使いがなっていないとの批判を受けてしまいました。加えて、指導担当のめぐみさんも、上司から、もっとしっかりと新人を育成するように注意を受けたのです。
相手への敬意があっても、言葉使いや表現を間違えると思わぬ批判を招くことがあります。敬語を正しく使うことは、ビジネスシーンだけではなく、良い人間関係構築には欠かせません。そのためにも、敬語はしっかりと身につけましょう。
 次回は座談十五戒を振り返ります。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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