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「接遇のチカラ」 (53) 「座談十五戒」から学ぶ~賛成居士たるなかれ

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」から、このコツを学びます。
○第12戒 反対居士たるなかれ(P84~86)
「反対居士」とは前回の「賛成居士」とは対照的に「相手の意見に対し、片端しから反対する人種」です。徳川夢声氏は「全部反対されては、だれでも腹を立てるか、馬鹿々々しくなるかするものです」
と異を唱えています。
とはいえそんな人って結構いるものです。
例えば、提案をしたら「使えないな。本当に検討してんの?」とまずダメ出しをする上司。
「仕事、早いね!」と褒めても「別に早くなんかないですよ」とつぶやく後輩。
「今日のスーツ、センスいいね」と言えば「嫁が選んだから。俺、センスないし」と返す同僚。
返答した側は、提案に対する指摘や誉め言葉への謙遜として言っているのかもしれません。とはいえ、良かれと思って提案をしたり、褒めたりしたのに、これではたまりません。自分の無能さを露呈したかな?かえって相手を傷つけてしまったかな?と、やるせない気持ちになります。そして、そんなやりとりが繰り返される相手とは、話を続けたくなくなります。
物事にはいろいろな見方やとらえ方があります。だからこそ他者の意見は貴重です。夢声氏も「反対論というものは、確かに人知の発達、文化の向上に、是非とも必要なもの」としています。しかし、むやみな反対はその意味を成しません。
相手とよりよい関係を保つには、その意見や言葉を「そうですね」などの返答で、まずは受け止めましょう。思い違う点はそのあとに伝えます。即座に反発しないことで、「私にはあなたの考えを受け止める度量がある」と相手に示すのです。
「辛辣な、 意地の悪い、ムカムカさせる反対居士」は周りにいますか?そんな人を反面教師にして、コミュニケーションを築いてください。
次回の「軽薄才子たるなかれ」では、相手への合わせ方ついて考えます。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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