メルマガバックナンバー 大嶋利佳執筆記事

現代に活かす武道歌(9)

 毎週第1,3金曜日は、歴史上有名な武士や武芸者が詠んだ短歌「武道歌」を紹介しています。古くから伝わる言葉の中には、少し視点を変えて読めば、現代に生きる私たちにも役立つものがあります。
 今月は、柳生宗厳(1529~1606))の歌を取り上げます。
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兵法はけいこたんれんつねにして 色にいださでかくしつつしめ
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 「稽古鍛錬を常にして」、しかもそれを人に知られないようにせよ、と述べています。ひとに知られてはいけない理由は、驕りの気持ちが生まれ、さらには人に侮られるからでしょう。「自分はこんなにやっている」と言い立て優越感にひたり、他人の気を引こうとする人を、周囲が尊敬することはありません。それどころか「口ばかりで大したことはない」と見下されることもあります。普段は黙っていて、いざというときに実力を発揮してこそ、周囲は「すごい」と驚き感心するものです。余計なことは言わず、他人に誇示せず黙って行う。これもまた心の稽古鍛錬なのです。

 

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