毎週第1,3金曜日は、歴史上有名な武士や武芸者が詠んだ短歌「武道歌」を紹介しています。古くから伝わる言葉の中には、少し視点を変えて読めば、現代に生きる私たちにも役立つものがあります。
今月も、柳生家の家臣、庄田喜左衛門(江戸時代前期 生没年不明)の歌を取り上げます。
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一向に勝ちを極むる道ならず 負る心も兵法としれ
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「一向」は「ひたむき」と読みます。ただ勝ちのみを求めようとするのが兵法ではない、と述べています。戦う前に感じる、負けるかもしれないという恐れ、戦いの中で負けを呼び込む動揺、負けてしまってからの後悔などを経験するのも、また兵法の一部なのかもしれません。開催中のオリンピックを見ていると、いっそうその感を深くします。
現代に活かす武道歌(15)