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ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(12)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
数あるスキルの中で基本は、まずは相手の話を聴くこと『傾聴』です。そして、その応用として『質問』と『沈黙』を紹介してきました。前回からは、『意見に応える』と題し「相槌(あいづち)」や「反復」を解説しました。
今回は、「否定しない」です。否定とは、相手が言った内容を打ち消すことです。対語になるのは「肯定」です。
否定と間違えやすいのは「反対」です。反対とは、相手の言った内容に対して、逆に応えることです。
「否定」と「反対」とでは相手に与える印象は大きく違います。本エッセイのテーマである少人数の会議の出席者には、新人をはじめ、異動したてで担当業務に馴染めていない人もいるかもしれません。
そういう人たちを「否定」しないよう気をつけてください。彼らの意見に違和感があるならば、一旦受け止めた上で「反対」を述べるようにしてください。
例えば、新人がアイデアを提案し、上司が応える場面です。
否定 「これはアイデアとは言えません」
反対 「このアイデアには賛成できません」
また、顧客からの難題に対し新人が解決策を上司に述べ、意見を求めている場面です。
否定 「そんな考えでできるわけないだろう」
反対 「その考えではうまくいかないと思う」
 否定と反対は、相手の行為の是非を問う前に、存在を認めているかどうかで大きな違いがあります。否定すると、そのあとフォローのつもりで意見しても、相手の心には届きません。
 筆者が見聞きしてきた否定の応え方には次のようなものがありますが、思い当たる方はいらっしゃれば今すぐやめるようにしましょう。
「ありえない」「そんなはずはない」「馬鹿なことを言うな」「何考えているの」
次回は「相手を評価しない」を解説します。

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