メルマガバックナンバー 松原里実執筆記事

「接遇のチカラ」 (54) 「座談十五戒」から学ぶ~賛成居士たるなかれ

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」から、このコツを学びます。
○第13戒 軽薄才士たるなかれ(P86~87)
コミュニケーション能力が高い人は、相手に喜ばれる応対を心得ています。「歯切れがよくって、言うことが気が利いていて、表情が派手で、手ぶり身ぶりも面白おかしく語る」ので、会話は弾みます。ですが、調子に乗って言葉選びを間違えると信頼を失います。これが「軽薄才士」です。
友人は取引先に、まさに軽薄才士な営業さんがいるそうです。
明るく軽妙で話しやすい人ですが、仕事ではちょっと信頼に欠けると感じていました。例えば、メールの返事は来たり来なかったり。突然訪問してくる。前回の雑談はすっかり忘れている、などで、違和感を持っていました。
その不信感への決定打は、来季からの納品価格見積もり依頼でした。値下げをお願いすると、営業さんは「承知しましたぁ!技術部と話します!来季もご一緒したいので、全力で頑張りますよ~」と快く返事をしてくれました。
3週間後、「見積書を送付します」と短い言葉だけのメールが届きました。その金額はいままでと全く変わらないものでした。友人は価格のことよりも「あの『全力で頑張る』は何だったんだろう?やっぱりノリだけか…」と呆れてしまいました。
この営業さんは、客との場を明るくするように振る舞う人です。
そのために、勢いで「全力で頑張る」と期待を持たせるように言ってしまったのでしょう。これが夢声氏が慎むべきとする「オッチョコチョイ」です。「アトクチが悪くては、なんにもなりません。結局、人間として、信用されないということになります。」と残念な結果を招きます。
「つい、言っちゃった」がないように、雰囲気に流されず自分の言葉を見つめましょう。オッチョコチョイでの失敗で、自分もそのアトクチに悩んでしまうこともありますから。
次回の「朴念仁たるなかれ」では、反対に相手との空気を読まないとどうなるかを考えます。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

-メルマガバックナンバー, 松原里実執筆記事

© 2024 講師道錬成道場『雙志館』