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ファシリテーションの基礎となる思考方法 クリティカル思考(2)

こんにちは! 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月はクリティカル思考(Critical Thinking:批判的思考)を取り上げています。ある選択は論理的には一見正しくても、「そもそも前提は正しいか」「他に可能性がないか」とチェックする機能が特徴です。
また、思考の癖(バイアス)を是正する働きがあり、前回は「確証バイアス」を紹介しました。
今回はある出来事について予見できていたように思いこむ「後知恵バイアス」です。活用事例に、前回登場したある製造企業の宣伝部での会議を取り上げます。
主婦3名の試用データから販売を決定した新製品XXは売れ行きがまずく、担当者のAさんはがっくりして「すみませんでした…」と謝るばかりです。
すると、誰かがこんな声を挙げました。「Aさんに任せたが、なるべくしてなったと思う」「Aさんのやり方では、いつかはこうなると思っていた」と、まるで失敗するのをわかっていたような物言いです。  
その人たちには新製品XXは売れなそうな予感があったが、検討段階ではAさんの勢いに飲まれるなどして反対意見を出せませんでした。ところが自分の選択肢のひとつが的中してしまった。そうなると、後知恵バイアスに陥った人たちは自分の論理は正しかったと思い込み、「やっぱり、Aさんの案はダメだった、自分が思った通りだ」と、人に失敗の責任を押し付け、加えて自分たちの正当化を強めていきます。
しかし、その場に「クリティカル思考」をもった人がいるとしたら、その人は何を言うでしょうか。「では、なぜ私たちは黙っていたのだろうか?Aさんの勢いに飲まれたから、で済ませていいのか?」と自らの姿勢を問い直したり、「試用データが主婦3名では少なすぎで、みんなが協力してデータを増やすべきだった」と、他人事ではなく自分事として再発防止策を検討したりすれば、議論を建設的な方向に向けられます。
次回も、バイアスを是正するクリティカル思考の活用事例を紹介します。

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