毎月2回、第1、3土曜日に歴史上有名な武士や武芸者が詠んだ短歌「武道歌」を紹介しています。古くから伝わる言葉の中には、少し視点を変えて読めば、現代に生きる私たちにも役立つものがあります。
今月は、江戸時代後期に創始された北辰一刀流に伝わる歌を取り上げます。
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世はひろし事(わざ)はつきせじさりとては
我しる許(ばかり)ありと思ふな
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世の中は広く、知らないことは限りなくある。自分の知識経験がすべてだと思うな。この歌はそう述べています。分かってはいても、つい忘れがちなことでしょう。特に、ひとつの職場や専門分野で年齢経験を重ねてくると「自分は分かっている」「今まで通りやれば上手くいく」という思い込みが生まれてきます。よくよく注意したいことです。
「現代に活かす武道歌」(51)