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講師に求められる仮説力と質問力(6)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
講師に求められる仮説力と質問力(その6) 占部 正尚

 受講生が講義内容をよく理解できていない、あるいは勘違いに
よる質問を投げかけてきた場合など、講師は「どこが理解できな
いのか」「勘違いしているポイントはどこか」を探るために、仮
説を立てる必要があります。
 選ばれ続ける講師は、この仮説の検証に必要な“質問”を受講
生へ投げかけ、論点を明確にします。
その際の注意点は、有効な回答を急いで得たいがために矢継ぎ早
に質問をしたり、いきなり核心を突く質問をして相手の頭の中を
混乱させないことです。
 お勧めしたいのは「拡大質問」「分解質問」「限定質問」とい
う3段階の質問法です。最初に相手の頭の中を大枠で整理する
「拡大質問」、得られた回答の中から具体的に深掘りしていく
「分解質問」、最後に核心に迫る「限定質問」の順に進めます。
 女子フィギュアスケートの浅田真央選手の引退会見を例にとって
みましょう。いきなり「引退の原因は何ですか?」と記者が「限
定質問」をすると、心を閉ざされ、みんなが知りたい回答は望め
ません。
 そこで、「あなたにとってスケートはどんな存在ですか?」と
いう拡大質問から入ることで、浅田選手が頭の中を整理しやすく、
また誠実に答えようという心理状態を演出したのです。
 次回は、会見での分解質問の様子と、3段階質問法の応用につ
いて解説します。


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