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講師に求められる仮説力と質問力(10)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
講師に求められる仮説力と質問力(その10・最終回)占部正尚

 研修中に仮説を立て、それを確認するために大きな枠での拡大
質問から分解質問・限定質問と質問内容を絞り込んで問いかけて
いく手法を紹介しました。
 これによって、受講生が何を考え、どこが理解できずに迷って
いるのか等が整理され、講師が伝えるべき目標像を教えやすい状
態が生まれます。
 ここで注意したいことが2点あります。まず、仮説に引きずら
れないことです。例えば「この受講生は上司への報連相が足りな
いのだ」と仮説を立てても、実際は上司が忙しすぎて部下からの
報連相を聞く余裕がない状況もあり得ます。
 このような時に「報連相は重要であり、必ず実施すべきではな
いのか」と繰り返し問うても、受講生は納得しないでしょう。
 次に、質問が“詰問”にならないよう意識する必要があります。
問題解決の分野では、原因を分析する際に「なぜ?」を3回以上
繰り返そうと言われますが、型通りにやると受講生がプレッシャ
ーを感じて好ましい回答が得られないことがよくあります。
 講師としては「一緒に考えていこう」というスタンスが大切で
あり、特に受講生が若手であったり現場経験が浅い場合には、口
調や表情を柔らかくするよう意識しましょう。
 選ばれ続ける講師になるために、登壇終了後に「仮説」と「質
問」が有効であったかをチェックする習慣をぜひ身に付けてくだ
さい。


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