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言葉づかいを正す(4)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
 言葉づかいを正す(その4)  占部 正尚

 受講生が「すごく美味しい」と表現したことに対して講師が
間違いを指摘した際、「言葉というものは時代とともに変わる
ものだし、いいんじゃないですか!」と反論されたらどうしま
すか?
 もちろん、長い時間の中で少しずつ言葉が変わっていくこと
に異議はありませんが、明らかに論点のすり替えです。いま現
在の文法と照らし合わせて間違っているものを、見過ごして良
いという理由にはなりません。
 また「すごい!美味しい!と解釈できるのではないか」とい
う類の反論については、発想としては面白いと思います。しかし、
論点は「“すごい”という形容詞の用い方が妥当かどうか」に
あることを忘れてはなりません。
「すごい」と「美味しい」を切り離して表現する方法については、
本来の論点での検討が済んでから、「ところで、こんなユニーク
な表現を思いつきました」と切り出すのが筋であり、議論をする
上での礼儀でもあります。
 このように、言葉づかいに鈍感な人は、論点のすり替えや混同
を無意識のうちにしてしまいがちです。講師としては、自身の専
門分野に関わらず、こうした見当違いの意見に流されないよう見
識を磨いてください。


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