■ワンポイント・エッセイ 研修を原点から見直す
(その8・最終回)講師の問題(5) 占部正尚
近年、サーバント・リーダーシップ、すなわちリーダーとは
上から目線で指図する存在ではなく、組織のメンバーが成長で
きるよう奉仕する精神を持つ存在であるという概念が広まって
います。
すなわち、講師も受講生に対してリーダーとしての役割がある
以上、サーバント(奉仕者)であることが求められます。もちろ
ん奉仕とは、相手の顔色をうかがいながら、下手に出て仕えるこ
ととは全く異なります。
研修の主役は受講生であることを強く認識し、受講生が研修内
容を十分に理解し、職場で実践して成果を上げられるよう、講師
として最大限の工夫をしながら教え、フォローしていくという姿
勢を「奉仕」と呼ぶのです。
こうした姿勢を持つためには、「受講生の成長や成功を、自分
のこととして喜べる」という心の在り方が肝要です。逆に「受
講生の不幸は、自分にとっての悲しみ」であるべきです。
受講生に度を越えた質問や指示を繰り返して死に至らしめるよ
うな行為は、自分にとっての悲しみと思えない、すなわち「奉仕」
とは真逆の心構えによる産物と言わざるを得ません。
選ばれ続ける講師になるためには、良きリーダー(指導者)、
良きフォロワー(補佐役)を目ざし、その根底となるサーバント
(奉仕者)としての自分を心の中に築くことから始めてください。