メルマガバックナンバー 占部正尚執筆記事

労働という切り口で考える(15)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
労働という切り口で考える(15) 感情労働を支える“技”
                                   占部 正尚

 感情労働について考えていくと、やはり心技体のうち“心”の
在り方が多くを占め、前回までに、発想をポジティブに変換する
ことで感情を穏やかにして労働をスムーズに進めることができる
と書きました。
 この発想変換については、難なくできる人と苦手な人に分かれ
てしまいますが、比較的取り組みやすい“技”があります。それ
は、困難な状況に陥った時に「ありがとう。それは良かった!」
とつぶやくことです。
 もし、態度の悪い受講生が目についた時、カチーンときたりム
カッとすると、まさに感情労働がネガティブな方向に進んでしま
います。そのような場面では、最初は形だけでもよいので「あり
がとう。それは良かった!」と心の中で唱えてみましょう。
 慣れてくると不思議なほど「報告書に書く材料が見つかったよ」
「キミに興味を持たせて、態度を良くしてあげよう。私の評価も
上がるだろう」など、ポジティブな発想変換への呼び水となるの
です。
 選ばれ続ける講師はさらに続けて、その受講生に簡単な質問を
し、正解に対して大いにほめて味方につけ、クラス全体を講師の
話に引き込んでいくのです。
 こうした“技”を身に付けて発揮していくと、多少困難な場面
に遭遇したとしても、精神的な負担に押しつぶされることなく、
逆に意気揚々と切り抜けていけるのです。

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