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ファシリテーションの基礎となる思考方法 システム思考(3)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 今月はファシリテーションの基礎となる考え方のふたつめとして、システム思考を紹介しています。
 システム思考とは、先月まで説明したロジカル思考を複数組み合わせたものです。
 現実社会では複数の問題、すなわち、原因と結果が複雑に絡み合った循環構造になっており、単純に一部をいじればすべてが解決するわけではありません。
 先送りの発想ではなく、問題の本質を見極め、応急処置と抜本的な解決方法を同時並行で展開していく必要があります。

 前回、例として挙げた『売上(収益)が立たないが、新人を採用すべきか』を用いて、ロジカル思考と比較しながら説明します。原因から結果に至るのを「→」で示しています。
 ●『売り上げが減っている』→『採用・教育費が捻出できない』→『新人を採用しない』
 これはひとつのロジカル思考だと言えます。しかしここで終わってしまっては、そこから生じる問題を見つけられません。

 そこで活用したいのが「ループ図(ループとは輪や環を表す)」です。原因と結果をすべて挙げ、つなげていきます。
 ●『売り上げが減っている』→『採用・教育費が捻出できない』→『新人を採用しない』→『新人に割り振る予定の仕事を既存社員で行わなければならない』→『部下無しリーダーが増える』→『営業人数が足りない』→『営業件数が不足する』→(さらに)『売り上げが減る』

 このように、複数のロジカル思考を組み合わせて考えると、循環構造が見えてきます。
 また、『部下無しリーダーが増える』からは『技能伝承を受ける人材がいない』という意見が派生し、後々には『会社の伝統や習慣が受け継がれない』という問題が生まれる可能性もあります。
 このように、あらゆる因果関係を図示し、打つべき手(レバレッジポイントと言います)を検討するのがシステム思考です。
 次回もシステム思考の活用例を紹介します。

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