水江泰資執筆記事 雙志館ニュース

ワークショップをやってみよう(6)

こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
ファシリテーションを応用し、「ワークショップ」を社会人教育で活用するために、その主流である「研修」と比較しながら特徴をつかんでいきましょう。
前回から、プログラムの各パートを順次説明こととし、まずは冒頭の「ねらい」を挙げました。研修で求められる結果は「効果」であり、それは参加者全員が最終的には同じレベルに達成する、すなわち「予定調和」を目指します。
それに対して、ワークショップでの結果は「成果」で、それは「想定外」を意味します。「想定外」とは、事前に予想した範囲を超えている状態のことです。参加者の誰もが想定しえない、最後に何が起きるか、どんな結末が待っているかわからない…皆さんもドキドキしませんか。そのため、ねらいを伝える際には、参加者が抱く気持ちや感情、思考力を刺激するような言葉が散りばめられます。
ある製造業での例を示します。ワークショップでは、組織の問題解決に関するテーマがよく扱われ、そのひとつに『部門間の風通しをよくしよう』があります。社内の若手を呼び集め、トップ層からのメッセージが伝えられる場面です。
「我が社のさらなる飛躍のためにみんなの力を貸してほしい。部門同士の協力がさらに活発になれば、今までにないような魅力的な製品が生まれるだろう。現状を打破するアイデアを導き出してほしい…」
そんな虫のいい話はありえない、と思うかもしれませんが、やり方次第では実現するのです。
要するに、研修の「予定調和」に対して、ワークショップは「想定外」が求められる結果なのです。そうなると、参加者を誘う人物にもそれぞれにふさわしい能力や技術が必要です。
次回は、ねらいの紹介の中で、プログラムを担当する「人」について説明します。

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