こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
今週号から連載が再開します。新しい年も学びを広げ深めていきましょう。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回(昨年の最終号)では、オンライン会議における議題の進め方の第3段階「意見をまとめる」を、3回に分けて解説することとし、第1回「論点から外れた意見にはすぐに対処する」を説明しました。
第2回の今回は「似た意見同士を集める」です。様々な意見をどうまとめていいかわからないという悩みにお答えします。
事例で示します。前回に続き、ある会社の製造担当者たちが製品単価について議論しています。資材費高騰により値上げは決まっていて、どれくらい上げるかについてです。担当者がそれぞれ意見を述べます。
Aさん「500円。今後段階的な値上げの見込みもあるので、最初に一気にやってしまうほうが後々楽」
Bさん「400円。考え方はAさんと同じだが、値上げによる悪印象や顧客離れが心配だ」
Cさん「300円。利益率ぎりぎりの線。顧客にも理解いただけるはずだ」
Dさん「200円。本当は値上げしたくない。しかも200円では原価割れを起こすので、生産量を増やしてカバーしたい」。
そこで司会進行者は、もう意見は無いか、後出しはダメと強調し「出す」から「まとめる」段階に入ると宣言します。そして、似た意
見同士でまとめたいと参加者に投げかけるのです。
すると参加者は「似ている部分、まとめる軸となるものはなんだろう」と考えます。その中で「AさんとBさんの考え方は共通だ」、「D
さんの意見は実現が難しそうだが、考え方はCさんに近い」などと、似たところが見つかってきます。
こうなれば、4人の意見の違いで悩むのではなく「大幅値上げか最小に抑えるか」というふたつにまとまり、検討、選択がしやすくなり
ます。
次回は第3回「フレームワークを使う」を説明します。
オンラインによるファシリテーション(19)