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ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(3)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回から、職場での活用スキルとして「傾聴」と「質問」を挙げ、前回は「傾聴」を紹介しました。今回からは傾聴をより深める「訊く」について解説します。「訊く」は、相手をもっと深く知りたいという意図で質問する行為です。
最初は『否定質問』です。否定質問とは、「~ないのか?/~なかったのか?」と否定形を使った問いかけで、相手が起こした結果に対する原因や行為の理由を明確にすることです。
また、「~ない/~なかった」の代わりに否定的な意味を持つ言葉を用いても否定質問になります。
事例として、商談がうまくいかなかった営業部のAさんに、先輩社員Bさんが問いかけている場面です。
・B「Aさん、なぜ成功しなかったのだろう?」(否定形での問いかけ)
・A「準備不足だったから…」
・B「なぜ準備を怠った?」(否定的な意味を持つ言葉での疑問形)
・A「時間が無かったのと、大丈夫だと思い込んでいました…」
否定質問を使うには人間関係を築いておくのが前提ですが、さらにコツがふたつあります。
ひとつは論理的な順序で問うこと、もうひとつは非言語要素に配慮し責めている印象を与えないことです。そうでないと「なぜ」を繰り返される相手には「責められている」「自分にだけ責任を押し付けられている」という感覚が芽生え、次第に心が離れる可能性があります。
また、「そんな言い方をしなくても…」という反発も生じるので、否定質問を投げかける際には表情や声色、口調など言葉以外の要素に注意しましょう。
次回は『肯定質問』を紹介します。

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